discとdiskの意味的な違いを詳細にまとめてみた【英語の話】

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趣味で、マインクラフトでたまに遊ぶのですが、たまたまMusic Discという言葉を見て、discとdiskの違いって何だろう?と思ったのきっかけで、専門辞書を駆使して、かなり詳しく違いを調べてみました。

ちなみに、私の手持ちの電子辞書では、以下の通り説明があります。

ジーニアス英和大辞典(大修館)では、discはdiskのイギリス英語。
新英和大辞典(研究者)では、disc=disk。


以下、語源辞典、英語のコンピュータ専門辞書などを参照して調べた結果です。

語源を調べてみる

『英語語源辞典』によると、以下の通り(括弧内の年は初出の大よその年)。

disc, disk
1.『太陽・月などの平円形の表面』(1664)
2.『投擲用円盤; 平円盤』(1715-20)
3.『レコード』(1888)
4.『(データ記録用の)ディスク《ハードディスク・フロッピー・CDなど》』(1947)

また、『diskの方が本来の綴りだが、《英》では特に語義3,4ではdiscがふつう』とあります。

語源はラテン語のdiscusだそうです。
discusの項を調べると、初出は1656年で、投擲用円盤の意味。
また、その語源はラテン語のdiscus、(当時の)ギリシャ語であるdiskosまで遡ることができるようです(両者とも投擲用円盤の意味)。

ちなみに、お皿のdishも、discus、diskosが語源とのこと。
dishは、古英語の時代(AD700-1100年)には存在していた単語のようです。

要するに、語源はもともと同じだけど、イギリス英語ではdiscが使われる、ということでしょう。

参考文献:
・寺澤芳雄『英語語源辞典』研究社、2004

現代での違いは?

A Dictionary of Computer Science (Oxford)

紙の辞書ですが、OxfordのA Dictionary of Computer Scienceでは、以下のように書かれています。

disc
UK spelling of disk, sometimes preferred in UK computer literature.

Oxford A Dictionary of Computer Science

discは、diskのイギリス英語だと書かれています。

disk
An item of storage medium in the form of a circular plate. These devices are at present (1995) principally magnetic disks, in which the information is stored via magnetic encoding. . . .
(拙訳:円盤状の記憶媒体。このデバイスは現在(1995)では主に磁気によって符号化された情報を蓄積する磁気ディスクである。

Oxford A Dictionary of Computer Science

CD-ROMやDVDについてはoptical diskの項目でdiskと表記されており、両者の語義の違いについては、特に記載がありません。

diskは主に磁気ディスクを指すとは書かれているものの、CDやDVDもdiskと表記しており、discは単にdiskのイギリス英語である、と読み取れそうです。

Dictionary of Computer and Internet Terms (BARRON’S)

たまたま手元にあった紙の辞書ですが、BARRON’S Dictionary of Computer and Internet Termsに、両者の違いが書かれています。
ちなみに、BARRON’Sはアメリカの出版社で、経済・金融を専門にしています。

以下の引用は、diskの項のUsage Noteの箇所です。

This word is often spelled disc when referring to compact discs (CDs), DVDs, and laser discs, but is always spelled disk when referring to magnetic disks and diskettes. The difference in spelling probably reflects the European origin of the CD.
(拙訳:この単語はCDやDVDやレーザーディスクを指す時はしばしばdiscと綴られるが、磁気ディスクとフロッピーを指す時は常にdiskと綴られる。スペルの違いは恐らくCDのヨーロッパの起源を反映しています)

BARRON’S Dictionary of Computer and Internet Terms

ちなみに、discの項目には、”a compact disc (CD) or digital video disk (DVD).”としか書いていません。

要は、光学的なものはdisc、磁気によるもにはdisk、という分け方のようです。

Oxford Dictionary of English

discの項目のUSAGEには、以下のようにあります。

Generally speaking, the British spelling is disc and the US spelling is disk, although there is much overlap and variation between the two. In particular, the spelling for senses relating to computers is nearly always disk, as in floppy disk, disk drive, and so on.

Oxford Dictionary of English

一般的に、イギリス英語ではdisc、アメリカ英語ではdiskなのだとか。
さらに、フロッピーやディスクドライブなど、コンピュータに関連するものは常にdiskだと。

ちなみに、diskの項目には、”US spelling of DISC, also widely used in computing contexts.”とあっさり記載されているのみ。

Oxfordはイギリスの辞書ですので、一般的にdiscが使われるように見えます。

AppleのHPから

Appleがdiscとdiskの違いについて、一応、見解を出しています(下記リンク)。

「disc」と「disk」の違い (Apple)

BARRON’Sと同様、discは光学メディア、diskは磁気メディアを指す、という立場のようです。

参考文献:
・A Dictionary of Computer Science (Oxford, 2016)
・Dictionary of Computer and Internet Terms (BARRON’S, 2017)

まとめ

・イギリス英語ではdiscの表記が一般的。
・技術的な面からは、光学メディアをdisc、磁気メディアをdiskと表記する。

以上が妥当な結論かなと思います。

以上です。

 

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