Oracleの資格である「ORACLE MASTER」について調べていると、Databaseに関しては今年から一新されているっぽい。
昔はGoldを取得するのに数十万円する講習を受講する必要があったのですが、今は違うようです。
本記事の前半は、勉強も兼ねて簡単に新体系をまとめたもの。後半は私の過去の受験体験談です。
従来のORACLE MASTER Databaseの体系
バージョンごとに分かれいたのが、従来。
例えば、Oracle Database 11gやOracle Database 12cとバージョンで分かれており、それぞれのバージョンごとにBronze、Silver、Gold、Platinumのグレードが存在。
ちなみに、Bronzeに合格するには「DBA」と「SQL基礎」の2つの試験に合格する必要がある。
2020年以降のORACLE MASTER Databaseの新体系
新資格体系の概要
まずOracle Databaseのバージョンについては、Oracle Database 18c以降、変更が入っている。リリース番号の付与方法が違い、18c以降は年ごとにメジャーリリース番号が変更になる(詳細は「Oracle Databaseのリリース番号の概要」を参照)。
新体系では、従来のようにバージョンごとに資格を分けない。
現在の資格は、12c R1、12c R2、18c、19cの全てのバージョンに対応する。
Database資格は大きく2つ。データベース管理者資格の「DBA」と、開発者・データアナリスト資格の「SQL」。以前のBronzeでは、DBA+SQLの2つの試験に合格しないと資格が貰えませんでしたね。
公式サイトのままですが、以下に簡易的にまとめる。
上がDBAで、下がSQL。
Ver. | 職務 | Bronze | SilverおよびAssociate | GoldおよびProfessional |
12c R1、12c R2、18c、19c | データベース 管理者 |
ORACLE MASTER Bronze DBA 2019 |
ORACLE MASTER Silver DBA 2019 |
ORACLE MASTER Gold DBA 2019 |
12c R1、12c R2、18c、19c | 開発者 データ・アナリスト |
ORACLE MASTER Silver SQL 2019 |
AssociateとProfessionalはグローバルな認定資格制度における名称で、BronzeやSilverの呼び名は日本ローカルのものと思われる。グローバル認定制度における名称は、ORACLE Certified Associate、ORACLE Certified Professional、ORACLE Certified Masterの3つ。SilverはAssociateに、GoldはProfessionalに対応。
詳しくは、公式サイトの「Oracle University 認定資格一覧」をどうぞ。
グローバル認定制度については、英語ですが、同じく公式サイトの「WHITCH ORACLE CERTIFICATION IS RIGHT FOR YOU?」を参照のこと。
各グレードの合格に必要となる科目
新規受験の場合、各グレードの資格取得には、以下の科目に合格する必要がある。
グレード | 受ける必要のある科目(かっこは試験番号) |
ORACLE MASTER Bronze DBA 2019 | Bronze DBA Oracle Database Fundamentals (1Z0-085-JPN) |
ORACLE MASTER Silver DBA 2019 | Oracle Database Administration I (1Z0-082-JPN) |
ORACLE MASTER Silver SQL 2019 | Oracle Database SQL (1Z0-071) |
ORACLE MASTER Gold DBA 2019 | 認定パス① Oracle Database Administration I (1Z0-082-JPN)と Oracle Database Administration II (1Z0-083-JPN) 認定パス② ORACLE MASTER Silver DBAに合格してプラス、 Oracle Database Administration II (1Z0-083-JPN) |
また、旧資格保有者に対するアップグレードも用意されている。具体的には、以下。Silver資格以上がないとメリットを享受できない。
- 9i以前、10g、11g、12c Bronze資格保有者は、「Oracle Database Administration I (1Z0-082-JPN)」を受験することで、Silver DBA 2019が取れる(→新規取得の場合と変わらない)
- 10g、11g、12c Gold・Silver保有者は、「Oracle Database Administration II (1Z0-083-JPN)」に合格すれば、講習受講なしで、Gold DBA 2019が取れる
各グレードで必要な受験費用
Goldのハンズオン講習が必要なくなったので、Goldについては手が届きやすくなった。理由は、今では無償で練習できる環境が揃っているから(Oracle Cloud Free Tierとか)なのだとか。
グレード | 試験番号 | 費用(税抜) | 取得までの合計(税抜) |
ORACLE MASTER Bronze DBA 2019 | 1Z0-085-JPN | ¥26,600 | ¥26,600 |
ORACLE MASTER Silver DBA 2019 | Z0-082-JPN | ¥26,600 | ¥26,600 |
ORACLE MASTER Silver SQL 2019 | 1Z0-071 | ¥26,600 | ¥26,600 |
ORACLE MASTER Gold DBA 2019 | Z0-083-JPN | ¥26,600 | ¥53,200 |
受験方法・試験地
受験方法は2つ。
- 全国にある「ピアソンVUE社テストセンター」の試験会場で受験
- オンラインで受験
昔、私がBronze Database 11gに合格した時はオンライン受験が不可でしたので、今の人は羨ましい…。試験地は全国から選べるはず。
申し込みは、Oracle University公式サイトから行える。
以上が、新試験の体系と、大雑把な概要。
試験の難易度
これ以降は古い情報もあるので、参考程度にお願いします。
昔、ORACLE MASTER Bronze Database 11gに合格しました。ただ、相当昔ですし(12cが出る少し前くらい)、11gと12cでの変更点も大きいですが、試験範囲を確認したところ大幅には変化していないようなので、体験談を書こうと思います。ちなみに、当時の合格証明書が↓。
で、肝心の難易度ですが、当時「基本情報技術者試験」も取得しましたが、「基本情報と同程度もしくは少し難しかった」のが主観的感想。
SQL基礎
現在の、Silver SQLに相当するもの。
勉強前、実はSQLは全然書けないレベルで(大学の授業で少し習った程度)、抽出条件(where)と集約条件(group by)の違いもあまり理解していなかった。でも、それが「SQL基礎」合格時には1人で調べてSQLは組める程になれたので、Oracleを使うなら必ず役に立つはず(私は役に立った)。
正直、実際の業務でnatural joinとか、タイムゾーンでのデータ管理とか、MINUS演算子とかを使用したことがない。だけど、OracleのSQLは網羅的に勉強できるし、ネットで調べる時も「見たことがある」と思えるようにはなる。知識が増えれば出来る幅も広がる…はず(実際広がったし)。
要するに、Oracleを勉強するなら「SQL」合格は大きなプラスになる、はずです。
DBA
SQLも大変だったが、DBAは暗記にかなり時間をかけた(覚える量が多い)。Linuxへのインストール方法やSQL Developerの使い方も試験に出るので、自分のPCにOracle Databaseをインストールして(これがまた大変)、実機で練習したりも。帰宅後に勉強していたが、大変だった…(要領の良さを問題にされるとそれまでだけど)。
12cになってPDBの概念が出来たり11gから変わった所もあるけれど、起動・シャットダウンの仕方とコマンド、概念、Enterprise Managerなど、試験範囲は当時とほぼ同じのよう。でも、業務ではEnterprise Managerはあまり使用しなかった…かな。Object Browserのほうが使いやすいし、第一、重い。
どんな試験だったか
SQLもDBAも試験会場で受けましたが、PC画面に向かって、選択肢を選ぶというもの。合否もその場で分かる。IPAの情報処理技術者試験に比べると味気ないかも…。
資格取得は役に立ったか?
正直に、役に立った。
SQLの正確な知識ができて、きちんと書けるようになった。あと、Oracleのインストールができる程度の知識はできるので、社内のテスト環境構築ができる。先輩や周囲にも迷惑がかからない。
おすすめの勉強法
実務では使わない概念も試験には出題されるので、自宅学習も必要になると思う。幸い、OracleにはOTN開発者ライセンスがあり、製品版Databaseを学習目的で思量することが可能(社内での開発・検証目的でも可)。ダウンロードページから落とせる。
※OTN開発者ライセンスについては、Oracleのこのページを参照のこと。
また、Oracleが無償で、Live SQL、Oracle Cloud Free Tierを提供している。
どれを使用しても良いですが、Linuxへのインストールは経験がない人には難しい可能性があるので、Windows版を落として使うのも、楽な方法かも。
SQL
これは実際に手を動かすに尽きる。
Live SQLも使えるけど、実機にインストールしてcreate tableなどをして勉強したほうが、余計な手間が発生しないかも。試行錯誤して、結果を見て…、勉強しましょう。
DBA
Linuxへのインストール方法も出題されるのが、多少やっかい。所定のユーザー、グループを作成しないといけなかったり、SE Linuxの設定とかで、最初は躓くかもしれない(ただ、今のOracle Linuxだともう少し楽かも。試したことはないけれど)。
これも実機にDatabaseをインストールして試したほうが良い。
ただ、DBAの試験は暗記が多くなると思うので、通勤電車の時間などを利用して頑張って…覚えましょう…(としか言いようがないです…ごめんなさい)。
参考書・問題集
新体系になってからの参考書・問題集は、まだ出揃っていないようです。
唯一あるのが、Bronze DBAの↓。
12cの教科書・問題集でも、Bronze・Silver程度であれば概ね対応できる可能性があるので、購入してみるのも1つの手。
一応、Amazonの検索結果がコレなので、ご参考までに。
以上です。
参考
・製品の年次リリースに合わせシンプルになり履修コースも不要に(@IT, @IT Special, 2020/3/2)
※アイキャッチ画像はPixabayのGerd Altmannから